会長。私と恋のゲームをしてください。
私は横目で、会長を見た。

呆然としている会長。

理樹くんがつけているネックレスを、黙って見つめている会長。

誰も、何も喋らない。


私は、どうしていいのか分からなかった。

会長に、なんて言えばいいのか。

なにを、どう言えばいいのか。

それとも、何も言う必要がないのか。

分からなかった。


先ほどの、ピリピリとした空気はなくなった。


だけど。

今は、会長がなにを考えているのか分からないことが怖かった。



「……北澤。帰るぞ」



会長は私の腕をとって、理樹くんに背を向け歩き出した。

引っ張られるように歩く私。

そんな私たちに理樹くんが問いかける。



「帰るって、どこに」



その問いに対して、会長は理樹くんに聞こえるように呟いた。



「家だよ」

「家って……。だから、美雪ちゃん家は、」



会長が立ち止まる。

つられて、私も足を止めた。


会長が振り返り、理樹くんに言う。
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