幸せの鐘

「あ、調味料切れちゃってる・・」




夜ご飯の材料が足りなくて
外に出たら駄目だって言われてたけど
私は外に出た。




スーパーで買い物をして外に出ると
道路を挟んで向こう側の道を
蒼汰くんが歩いてた。




でも・・




「あの女の人だれ・・?」





蒼汰くんの腕に絡みつくように
べったりひっついてる女の人




それを引き剥がそうともしない・・





蒼汰くんが帰ってこない理由ってこれ?




悠馬くんや和希くんは全部知ってたの?




モヤモヤした気持ちのまま家に帰って
料理の続きをする気にもなれず




ソファでぼーっとしてた。



夜の10時を過ぎた頃蒼汰くんが帰ってきた。



「ただいま。」



「おかえり・・」



普通にしなくちゃ・・




だけど、蒼汰くんが隣に座った瞬間
香水の匂いがした。



こんな香水蒼汰くんつけないのに・・




どうしよう、涙が溢れてくる。




下を向いて必死に涙をこらえる




「杏?どうした?」



「な、なんでもない。」



「こっちみろ。」



両頬を手で覆われて顔を自分の方に
向けた蒼汰くんは涙を流してる
私にびっくりしてる。




「何かあったのか?」



なんでいつも通りの優しさなの?



私に飽きてあの女の人が好きなんじゃないの?




偽りの優しさなんていらないよ・・
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