無口な彼の熾烈な想い
抱き締めていた鈴の身体から力が抜け、次第に頭を撫でていた腕が下がる。

経験値のない絢斗でも、これは鈴の非言語的なお誘いなのだと勝手に本能が察知した。

何のお誘い?かは言うまでもない。

少なくとも絢斗には今が押さねばならないタイミングなのだと魂が告げているのだから本能に従うべきだ。

「鈴・・・!」

身体を離し、鈴の両頬を支えて絢斗が顔を近づけようとしたその時・・・だった。

絢斗は鈴が可愛らしく寝息を立て、瞼を閉じて眠っていることに気が付いた。

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