これを愛というのなら
chapter:18
夏本番の暑い陽射しーーー。

冬産まれの私は、夏が苦手。

反対に夏産まれの蓮は、冬が苦手。

未だに、喧嘩する理由もエアコンの温度だったりする。




中休みにーー1週間後の蓮の誕生日、どうしよう、と考えながら、買い物に来た商店街を歩きながら。


毎年の定番の蓮の好きなドイツビールにしよう、と酒屋さんに寄って1週間後に取りに来ますね、とお願いする。


「子供はまだか?」


酒屋のおじさんは、会うたびに子供は?と訊いてくるんだけど。


「もう少し、二人で居たくて……」


私も毎回、同じ答えを返す。

おばさんは、子供出来たら二人の時間は少なくなるからね。


「それにお父さんも、はせがわに行って梓ちゃんが居なかったら寂しいでしょ?」


こうやって、いつも助け船を出してくれる。

そうだなぁ、と腕組みをして頷くおじさんも、毎回。


考えてないわけじゃないけれど、蓮も私もまだ二人で居たい。

だから今でも蓮は中で出すことはない。

危ない日は、同棲を始めた頃から避妊をしてくれている。


酒屋のおじさんとおばさんに、手を振って、松田青果の前を通りかかると。

店先に、松田くんの姿を見つける。




「松田くん!?マッチングアプリでその後、いいひと見つかった?」


「それがな、明日デートするんだよ!」


「よかったね!」


「でな、蓮に服を借りたくてな。あとで、行こうと思ってたんだ。ほら、蓮はお洒落だろ?」


「うん、たしかに。蓮にも言っておくね」


「ありがとな。で、明日の配達ついでに取りに行くから、適当に選んで欲しいんだよ!好感度高い感じで」


蓮は、シンプルながら意外と、お洒落なのだ。

ブランドの服ってわけじゃなく、拘りもないけれど、センスがいい。

それに、スタイルがいいから何でも似合ってしまうから羨ましい。


はい、と頷いて、どこに行くか訊くと。

水族館。


「わかった。じゃあ、カジュアルな感じの選ぶね」


「おう、よろしく!」




だけど、この松田くんのマッチングアプリでの出会いが、商店街を巻き込んだ波乱を起こす事になる。


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