これを愛というのなら
テーブルのグラスに手を伸ばした瞬間に、ソファーに座る蓮に手を引かれて、蓮の腕の中にすっぽり収まってしまう。


「片付けなきゃ…」


鼻先がぶつかる距離の綺麗な顔を見つめながら、咄嗟に出た言葉。

さっきの続きをしようとしてるのは、蓮の艶めいた瞳を見れば明白で。

心臓が破裂しそうなくらい激しく、鼓動を刻むのがわかる。




「あとでいいだろ。今、俺は梓を抱きたいんだけど……」


やっぱり。

開けられたカーテンから射し込む容赦ない夏の陽射しが、蓮と私の抱き合う姿を照らしている。

だから、ここで?と訊いてしまう私に。


「嫌なら…ベッド行くけど?」


答えを待つことなく、私を抱えた蓮は寝室へ歩いて行く。

ちょっと待って、と足をジタバタと動かす私に。


「待たない!」


嫌とかそんなんじゃない、むしろ抱かれたい。

だけど、今さらなんだけど……真っ昼間に蓮に晒す肌が今日は、無性に恥ずかしい。

朝からだって何度も晒してきたはずだし、お風呂だって今は毎晩一緒なくせに。

さっきだって、松田くんが来なければあのまま抱かれていたはずなのに。



「梓……」


ベッドに降ろされて、名前を口にする声は私を抱く時の、ワントーン下げた艶っぽい声。

私がこの声に弱いのを蓮は知っていて、わざとだとわかっている。

だから………

観念しろ、と言って私を見つめる蓮の瞳を見て小さく頷く。

口角を上げて微笑んだ蓮は噛み付くように唇を重ねて、僅かに開いた隙間に舌をいれて、舌先で私の歯を叩く。

たまに蓮がする開けて、のサイン。


唇を重ねたまま開けると、舌が奥まで入ってきて、容赦なく舌を絡ませてくる。


それだけで、私の身体は熱に浮かされて、蓮をもっともっと、と欲しがる。


蓮の身体の全ては、きっと私だけのために誂えられてるんだと思うくらい。

今までとは比べ物にならないくらいの快感は、止まることを知らない。


キスも、身体への愛撫も、私の中に指を入れても、舌で愛撫されても、ひとつに身体を繋げた時も、

私の感じる場所を知り尽くしている蓮は迷うことなく、そこを攻めてくる。


絶頂への階段を一気に駆け上がって、息つく暇もなく、また駆け上がる。


私もきっと、それは同じだ。

蓮が感じる場所を知り尽くしていて、敏感に反応する所に触れて、蓮の屹立したモノも感じる場所を攻めて、蓮を絶頂に駆け上がらせる。

身体をひとつに繋げると、お互いに感じる同じ場所へ中るように導く、もっとと乞うように。

その度に堪えるように、下半身に蓮は力を入れる。

それでまた、私を簡単に高ぶらせる。



お互いの熱を求め合い、

夢中で抱き合って何度目かわからない絶頂に導かれて、

ベッドに身を投げ出して荒い息を整える。

この時さえもまだ足りないと思ってしまう。


私たちは、この日。

陽が沈むまで、何度もお互いを求め合っていた。
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