これを愛というのなら
ロッカールーム前で蓮と、

またあとで。と別れて、着替えながらフレチトーストを頬張った。

美味しい!

これだけで、今日も頑張れる。



なんて、思いながら着替えを追えて、

事務所に行くとすぐに、利香に捕まった。


サロン横の給湯室に連れ込まれて、



「料理長と、本当に本当に付き合ってないの?この際だから、正直に言っちゃいな?」


やっぱり、そうきたか!


捕まった時点で、わかっていた。

そう聞かれること。



「付き合ってはない、本当に」


ただ……


同期入社で、ずっと仲がいい利香になら。

話しても問題ないだろう、と。


一昨日からの事を話すと。


「で、梓は今頃になって気付いたわけね。好きだって」


頷いてから、私が蓮を好きって気付いてたことへの驚きで、へ?って間抜けな声が出ていた。


それを聞いて、溜め息をついた利香。


「ずっと前から気付いてたよ。梓は気付いてないんだろうなぁって、たぶん料理長もね。だから、ついね。からかいたくなって…梓の口から料理長の話が出る度に、付き合ってないの?って聞いてたの」


でもね、


「さっきの二人を見てたらね、勘のいい利香さんは。付き合い始めたか?ついに!って思ったわけよ」


と。

あぁ、うん。それはわかったんだけど。

たぶん料理長もねって言わなかった?


そう、聞いてみると。


「好きだと思うよ。だってさ、梓が自分の近くにいる時の料理長は、すごく優しい顔になるんだよね」


それに、と続ける。


「梓には、とにかく甘い!」


思わず、ふき出した私に。


「とりあえずさ、梓の気持ちをぶつけてみたら?いい機会だと思うよ」


と、私の肩をポンっと叩いた所で。

朝礼の時間5分前を、給湯室の時計が教えてくれた。


「また、仕事終わってからでも話せる?」


事務所に戻りながら聞くと、

もちろん、と。
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