これを愛というのなら
chapter;7
「なぁ、お腹すいてないか?」


家に入って直ぐに蓮は、そう聞いてくれて、

空いた、と言った私に。


「これ、一緒に食べるか?」


と、持っていた紙袋を私の目線まで上げた。


作ってきてくれたの?と聞くと、


「中途半端に余った食材で作りおきしてた賄いの、肉じゃがを少しパクってきただけだ」


なんて言うから、それっていいの?って笑ってしまう。


「いいだろ、別に。作ったのは俺だから」


なんかちょっとダメな気もするけど、蓮の優しさが嬉しい。


「はいはい。じゃあ、お味噌汁と副菜は作るよ」


って言うと、


「俺が冷蔵庫にある物で作るから、梓はシャワーでも入って待ってろ」


勝手に色々と使わせてもらうな、と荷物をリビングのソファーに置いて言ってくれた。


本当に蓮は、優しい。

優しすぎる。




ーー私がお風呂から出ると。


いい匂いが漂っている。


タオルで髪を拭きながら、蓮。と横に立つと。


「梓って、料理するんだな?」


失礼なことを言ってくれる。


「しないって思ってたんだ?」


顔を覗き込んだ私に、思ってた、と。


「失礼ね!一人暮らしも長いから、多少は作れます!」


「ふーん。まぁ、でも。冷蔵庫にそれなりに入ってて、助かった」


そうですか、と髪を乾かそうと脱衣場に向かう私に、


「今度、作ってくれよ?」


って、猫なで声で言うから。

断れないじゃない。



本当は、嫌だったんだ。

蓮に、ご飯を作るの。

だって、味付けに色々言われそうじゃない。


「うん、いつかね。そのかわり、文句言わないでよ?」


「言わねぇよ。旨かったらな!」


って、蓮は微笑んだ。


突っ込みたくなった!

美味しくなかったら、言うんだって。






「うん!美味しい!」


髪の毛を乾かして、テーブルに並べられたご飯に、箸を伸ばした。


当たり前だろ?って蓮は、お決まりの言葉を言うから。


「誰が作ったと思ってんだ!」


そう、私が言うと同時に蓮も同じことを言って。

2人の声が重なって、笑い合っていた。
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