奥手な二人の両片思い
両片思いは両思いへ
菫side



帰宅し、教科書とノートを広げて、ルーズリーフに問題を書き写す。


アメのこと、ツッコまれなくて良かった。

あの大量のお菓子のうちの1つだし、わざわざ1個ずつ凝視しないだろうし、気づくわけないよね。



「やった! 全部解けた!」



去年の勉強会で教えてもらって以来、先生には悪いけど、わからないところは直接上川くんに聞いている。

前より正当率上がったし、最後は1番いい点数が取れそう!



休み明けの月曜日。
登校し、下駄箱に詰め込んだ荷物を整理する。

今週は辞書は使わないから置いておこう。

整理を終えて、帰ろうとしたその時。



「綿原先輩、おはようございます」



振り向くと、そこには登校してきたばかりのモルくんが立っていた。



「モルくん! おはよう!」



ビックリした。
モルくんから挨拶なんて珍しい。



「あの……今時間ありますか?」

「うん! どうしたの?」

「……相談したいことがあって」



えっ? あのモルくんが私に相談?

私のこと苦手なはずなのに……一体どうしたんだろう。
< 116 / 144 >

この作品をシェア

pagetop