奥手な二人の両片思い

「菫ちゃんは？」

「私は毎年行ってるよ。ワンシーズンに1回は行ってるかな」



さすが菫ちゃん。動物愛が強いなぁ。



「この数年間で新しい動物も入ってきたから、楽しめると思うよ」

「へぇ〜」



そういえば、動物園のホームページを調べた時、新のマークがついてた動物が何匹かいたっけ。

丸5年も経つなら、赤ちゃんが生まれたり、新しい子も入ってくるはずだよな。ちょっと楽しみ。



最寄りのバス停に到着し、歩いて動物園へ。

入った途端、彼女のテンションが上がり出した。



「ヤギさ～ん、こっち向いて～？」



今いるのは、ヤギと羊エリア。

柵のギリギリまで近寄って、スマホのカメラを向けている。


ひたすら写真を撮っては見せてきて、「どれが好き？」と尋ねてくる彼女。


とりあえずくじゃくを選んだら、「華やかな怜也くんにピッタリだね！」と言って、くじゃくが羽を広げている写真をもらった。


間近で見たのは初めてだったから感動したけど……俺に似てるってことなのか？



「メェェェェ」

「うわぁ！　ビックリしたぁ！」

「アハハハハ！　驚きすぎだよ～」



近くで鳴いたヤギが屋根の上に登り、再び「メェェェェ」と鳴いた。

「俺が頂点だぁぁ！」って叫んでるのかな……？