奥手な二人の両片思い



のほほんと過ごしていた5月下旬のある日。

お風呂上がりのことだった。



【良かったら夏休みに一緒に遊びに行かない?】



スマホ画面に映っている上川くんからのメッセージを凝視する。



「こ、これって……デ、デート⁉」



違う違う! 何考えてるの私!
上川くん、友達いっぱいいるんだよ?

私もその中の一人にすぎないって!



【俺はゆっくりできる場所ならどこでもいいよ! 綿原さんはどこに行きたい?】



ゆっくりできる場所……それなら。



【動物園か水族館かショッピングモールかな?】
【それなら水族館にしようよ!】



返信すると、すぐ返事がきた。

オッケーと入力して送信ボタンを押そうとしたのだけど……直前で、ふと公園での出来事を思い出した。


そういえば上川くん、アヒルとカモを間違えてたよね。

どっちも同じ種類だけど、違い知ってなさそうだったし。

だとしたら、海の生き物なんて全然知らないかもしれない。



「どうしよう……」



他の場所にしたほうがいいかな。
でもせっかくオッケーしてくれたし……。


結局その日には返信せず、翌日学校に着いてから返信した。


けど……やっぱりどうしても気になって、昼休みに清花を中庭に呼び出し、彼の様子を聞いてみることに。



「大丈夫だよ。怜也くん今日すごく嬉しそうだったから」

「そう? それなら良かった」



優しく励まされ、ちょっと安心した。

今朝、委員会で早めに登校したから顔合わせてなかったんだよね。
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