奥手な二人の両片思い
校門をくぐり、昇降口に貼ってあるクラス分けの張り紙を確認する。



「えーっと……4組かぁ。上川くんは?」

「俺は1組。清花(きよか)ちゃんと一緒だよ」

「いいなぁ。これから1組に遊びに行こうかな」

「アハハ。いつでもおいで?」



清花は1年の時のクラスメイトで、初めての女友達。

綺麗な黒髪と横顔が特徴のしっかり者。
周りからは才色兼備と呼ばれていて、自慢の友達なんだ。



「じゃあ俺こっちだから。またね!」

「うん……またね」



彼と別れて2年4組の教室に向かうと、ドアには名簿が貼られていた。

えっと……同じクラスだった女の子は……あ、一人いた。



樫谷夏穂(かしたに かほ)ちゃん……」

「呼んだ?」

「っ……⁉」



名簿をまじまじと見ていると、突然後ろから声がして振り向く。

そこには、ほんのり日焼けした肌にポンパドールヘアーの活発な雰囲気の女の子がいた。



「樫谷夏穂です! 綿原菫ちゃんだよね? 2年生もよろしくね!」

「あっ、うん! よろしくね!」



彼女と一緒に教室に入る。

1年の時は時々話すくらいで、一対一で話すのは初めて。

窓際の一番後ろの席に座ると、彼女が小走りでやって来た。



「同じクラスだった子がいて良かった! うち人見知りだからちょっとドキドキしてたんだ~」

「え! そうなの⁉」

「うん、この見た目で人見知りなの!」



笑いながら話す彼女。
明るいイメージがあったからちょっとビックリ。
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