地味で根暗で残念ですが、直視できないくらいイケメンで高スペックな憧れの先輩に溺愛されそうなので……
「もうすぐ、終わりにします。でも、もうちょっとだけ、このまま居させて下さい」
ちなはそう言って私を抱きしめて私に頬を寄せて目を閉じた。
「石崎さんの馬鹿…」
ちなの体重は重く感じなかった。
苦しくなかった。
寧ろ暖かくて抱きしめて頭を撫でられるのは心地よかった。
「ずっと好きでした」
こんな風に男性にされた経験はちなが初めてで、恋人っていつもこんな風に触れ合うんだろうか?
そんな事を考えてた。
「鈍いのか、コドモなのか、僕に気がないのか? ずっと、どっちなんだって……」
自分の思考と並行して、進むちなの投げかけをただただ聞き流しながら、自分が自分の殻に閉じこもろうと心を閉ざしはじめているのを悲しく感じた。
流した涙の筋もちなが撫でて消してくれたのに、優しいのに、好きだと言ってくれるのに、私はいつも避けて、かわして、逃げようとしかしてこなかった。
ずっとこのまま、逃げるんだろうか。
「……。貴方って人は、とことん鈍くて、コドモで、僕に気がない」
恨み言で貶されてる。
でも、非の打ち所のない。
正確この上ない指摘であり、事実だと思う。
私はちなと一緒に居るのは好きだけど、ちなとの仲に彼氏彼女や恋人などの名前の付く関係を望んでない。
「反論、異論はないんですか!?」
「……ありません。ちなと一緒に居るの好きだったけど、私は正にちなの言った通りの人間だよ」
ちなは苦笑いして、うつ向いた。
私の胸に額を落として呟いた。
「この場面で、その言い種は本当可愛くないんですけど、そう言う不器用なところ、本当石崎さんらしいや。僕に気がないって言うのも、当たってるって事ですよね」
「……」
「……有耶無耶に、惰性で付き合うのが嫌だったんです。でも、今は後悔してます。最初に貴方とキスした時、そのまま抱けば良かった。……すみません。今の言葉、忘れてください」
二年前に酔って人の家で、お菓子を一人占めしようとした挙げ句、家主の唇をこじ開けてチョコを強奪した馬鹿女の、記憶と記録をこの世の全てから抹消してΣ(Д゚;/)/
てか、こんな時に何なんですけど。
どうしよう。息を自発的に止めて遺書書こうかな。
居たたまれなくて、でも、身動き取れなくて、酩酊して混乱した挙げ句、私が弾き出した欲求はそんなもんで、その程度の人間なんだ。
笑って欲しい。
と言うか、こんな状況なのに、健康優良児の私は、眠たく成ってきてしまったのだ。
ぶっちゃけいつアクビが出ても不思議はないのである。
でも、辛うじて残っている。
私の理性とデリカシーとモラルとリテラシーが絶対堪えるべきと生理的現象を必死で拒否している。
そんな時
不意に玄関のインターフォンが鳴った。
「思ったより早。一体何キロ飛ばしてきたんだろ?」
ちなは、そうつぶやいた後、ちょっとだけ間を置いて身を起こし、玄関へ向かった。
私はそのままリビングの床に寝転がっていた。
ちなが玄関に行き、カギを開けドアを開ける音と「こんばんは」とあいさつする声が聞こえた。
こんな夜更けに友達だろうか?
男の人、それとも女の人。
さすがに誰か来て、こっちに来るかもしれないのに寝転がっているのはなと思って身体を起こそうとしたが、酔いの性で這いつくばる様に身体を起こす羽目になった。
誰か来るのかな?
そう思って玄関の方を振り返ると、そこには私服姿でまっすぐ私の方に向かって来る冬野さんの姿があった。
サーっと血の気が引いていくのがわかった。
血圧も下がったと思う。
寿命も10年は縮んだと思う。
冬野さんの表情は複雑そうだった。
だって、ちょっと眉間に皺が寄っているんだもの。
だ、誰か…どうして一体なんだってこんなことになったのか、状況説明をしてくれないだろうか?
ちなはそう言って私を抱きしめて私に頬を寄せて目を閉じた。
「石崎さんの馬鹿…」
ちなの体重は重く感じなかった。
苦しくなかった。
寧ろ暖かくて抱きしめて頭を撫でられるのは心地よかった。
「ずっと好きでした」
こんな風に男性にされた経験はちなが初めてで、恋人っていつもこんな風に触れ合うんだろうか?
そんな事を考えてた。
「鈍いのか、コドモなのか、僕に気がないのか? ずっと、どっちなんだって……」
自分の思考と並行して、進むちなの投げかけをただただ聞き流しながら、自分が自分の殻に閉じこもろうと心を閉ざしはじめているのを悲しく感じた。
流した涙の筋もちなが撫でて消してくれたのに、優しいのに、好きだと言ってくれるのに、私はいつも避けて、かわして、逃げようとしかしてこなかった。
ずっとこのまま、逃げるんだろうか。
「……。貴方って人は、とことん鈍くて、コドモで、僕に気がない」
恨み言で貶されてる。
でも、非の打ち所のない。
正確この上ない指摘であり、事実だと思う。
私はちなと一緒に居るのは好きだけど、ちなとの仲に彼氏彼女や恋人などの名前の付く関係を望んでない。
「反論、異論はないんですか!?」
「……ありません。ちなと一緒に居るの好きだったけど、私は正にちなの言った通りの人間だよ」
ちなは苦笑いして、うつ向いた。
私の胸に額を落として呟いた。
「この場面で、その言い種は本当可愛くないんですけど、そう言う不器用なところ、本当石崎さんらしいや。僕に気がないって言うのも、当たってるって事ですよね」
「……」
「……有耶無耶に、惰性で付き合うのが嫌だったんです。でも、今は後悔してます。最初に貴方とキスした時、そのまま抱けば良かった。……すみません。今の言葉、忘れてください」
二年前に酔って人の家で、お菓子を一人占めしようとした挙げ句、家主の唇をこじ開けてチョコを強奪した馬鹿女の、記憶と記録をこの世の全てから抹消してΣ(Д゚;/)/
てか、こんな時に何なんですけど。
どうしよう。息を自発的に止めて遺書書こうかな。
居たたまれなくて、でも、身動き取れなくて、酩酊して混乱した挙げ句、私が弾き出した欲求はそんなもんで、その程度の人間なんだ。
笑って欲しい。
と言うか、こんな状況なのに、健康優良児の私は、眠たく成ってきてしまったのだ。
ぶっちゃけいつアクビが出ても不思議はないのである。
でも、辛うじて残っている。
私の理性とデリカシーとモラルとリテラシーが絶対堪えるべきと生理的現象を必死で拒否している。
そんな時
不意に玄関のインターフォンが鳴った。
「思ったより早。一体何キロ飛ばしてきたんだろ?」
ちなは、そうつぶやいた後、ちょっとだけ間を置いて身を起こし、玄関へ向かった。
私はそのままリビングの床に寝転がっていた。
ちなが玄関に行き、カギを開けドアを開ける音と「こんばんは」とあいさつする声が聞こえた。
こんな夜更けに友達だろうか?
男の人、それとも女の人。
さすがに誰か来て、こっちに来るかもしれないのに寝転がっているのはなと思って身体を起こそうとしたが、酔いの性で這いつくばる様に身体を起こす羽目になった。
誰か来るのかな?
そう思って玄関の方を振り返ると、そこには私服姿でまっすぐ私の方に向かって来る冬野さんの姿があった。
サーっと血の気が引いていくのがわかった。
血圧も下がったと思う。
寿命も10年は縮んだと思う。
冬野さんの表情は複雑そうだった。
だって、ちょっと眉間に皺が寄っているんだもの。
だ、誰か…どうして一体なんだってこんなことになったのか、状況説明をしてくれないだろうか?