明日、雪うさぎが泣いたら
私は、何をドキドキしているの。
頭を撫でられたことも、一度や二度ではない。
昔はよく手を繋いでくれたし、私は兄様にくっついてばかりだった。
あの夢のことをあまり話したくないのは、誰よりも兄様に心配させたくないし、困らせたくはないから。
だって、話してしまえば、あの男の子にもう一度会ってみたいことを白状しなければならないのだから。
「私よりも、兄様の方が……」
ずっと不思議だ。
どうして、未婚のままでいるのだろう。
それとも、私の知らないところでどこかへ通っているのだろうか。
「ん?」
ドキドキした胸が、今度はズキッと痛んで忙しない。
(だから、嫌なの。はっきりさせたいのよ)
ものすごく、悪いことをしている気分だ。
兄様もあの男の子も、別に私のことなんて何とも思っていないというのに。
何だか二股をかけているようで、自分が嫌になるのだ。
「ううん、何でも」
「何だ。人のことを出しておいて」
眉を寄せ、追及しようと更に口を開いたのを遮るように、私は庭を指した。
都合良く降りてきた雪。
ちらちらと舞う雪に、大雪と呼ばれる私は憧れすらする。
「寒いと思ったら。もう中に入れ」
ぼんやりと眺める私の肩を押し、問答無用とばかりに連行されてしまった。
それでも後ろを振り返ってしまったのは、どちらへの想いをそこに残しているからなんだろうか。