明日、雪うさぎが泣いたら

『……今度は、いつ会えるの?』


その台詞は恥ずかしいとは思わなかった。
知りたくて知りたくて、仕方なかったのだ。


『……分からない。でも、次に扉が開いたら、絶対さゆに会いに行くよ』


彼の答えも分かっているのに。
子どもっぽい私は、いつも困らせてばかりだ。


『絶対よ。絶対、また会いに来てね』

『うん、約束』


別れ際の決まりごと。
彼は面倒だったかもしれないけれど、この約束がないと私は泣いて駄々を捏ね、何が何でも約束してくれるまで帰らなかった。


『さあ、さゆも自分の世界に帰らなくちゃ』


私の世界。
それは、彼とは別物なんだって言われたようで泣きたくなる。


『大丈夫。今日だって会えたんだから。……しょうがないな、さゆは』


笑って、そっと目元に口づけされる。
ああ、もう瞼が腫れぼったかったんだな。
毎回のおまじないに、同じくらい頬も熱をもっていた。



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