天魔の華は夜に咲く
「・・ん。あれ?私」

目を覚ましたのは1時間後の事だった。

目の前には侍女のリアがいた。


「お目覚めですね。魔王様からおことづけがございます。とても心配そうにされておりましたが、政務の時間となってしまい・・」

「あ、そっか。パパにハグされて気絶したんだった」

「はい。本当に済まなかった。お詫びを兼ねて街で好きな物を買いなさい。と金貨を置いて行かれました」

「き、金!?」

テーブルには魔王の顔が彫ってある金貨が1枚置いてあった。


「魔界での通貨です」

「ええと・・どれくらいの価値なんでしょうか」

「はい、金貨一枚で人間界の日本円にして500万円くらいかと」

「ごご・・ごひゃ・・」


_豪快すぎるわ!ってか、魔界の物価ってそんな高いの!?


「そんな大金困るんですけど!」


「と申されましても、魔王様は小遣い程度とおっしゃっていました」


「どこのセレブ!?使い道なんかないのに。パパに返してきます!」


_魔王だからって金銭感覚ヤバいんだよ絶対!こっちはコツコツ毎月2000円くらいしか貯金出来なかった生活なのに!!


慌てふためいているとリアは楽しそうに笑っている。


「センジュ様は魔王様の娘なのですから当然でしょう。それに魔王様は嬉しいのですよ」


「いやいや、そう言われてもぉ・・・」


コンコン

困り果てていると軽いノックが聞こえた。


「偶然聞いちまったんだけど」

「セヴィオ」

「俺が一緒に消化してやってもいい」


元気そうにセヴィオが入ってきた。


「フォルノスの件は聞いた。物騒だから暫く護衛も兼ねて城から連れ出せってあの方からの指示だ」

「パパがセヴィオを?」

「ああ、今日は城はずっと事情聴取だ。エレヴォスはそっちに駆り出されてる。アルヴァンは外回りだからな。俺が適任てコト」

「そうなんだ」

「あの方、城にいるヤツら全員の首跳ねそうになってたらしいけど、センジュに諭されて思いとどまったって言ってた」

「あ、うん」

「そしたら城のヤツら全員が安堵して、あんたの事すげえって褒めてた。株が上がったな」

「そんなんじゃないんだけどね・・普通に」

「ぷくく。まあ、ホント。あんたには助けられっぱなしって事だな」


_セヴィオ、そんなに久しぶりでもないけど、なんか安心する。元気そうで良かった。


ほっとしているセンジュにリアはにこりと微笑んだ。

「では早速動きやすい恰好にお召替えしましょう」

「あ、はい」

「セヴィオ様、少しお待ちくださいませ」

「ああ、廊下で待ってる」


嬉しそうにセヴィオは出ていった。

センジュを独り占めできるいい機会だ。
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