天魔の華は夜に咲く
「さて、センジュ疲れただろう。上に戻ってゆっくりお茶でも飲みなさい」


ドキン


センジュは思わずラディエルを見た。


_見放したら、この人はパパに殺されちゃう?


ラディエルもセンジュを見つめていた。

数パーセントの可能性を信じている様に見えた。


「パパ・・ラディエルは・・」


恐ろしくて息が詰まる。

すると魔王はニコリと微笑んだ。


「安心して。殺さないよ」

「・・ほんと?」

「ああ、私はまだウリエルとも話がしたいからね。アレを殺しては話も出来まい」


それを聞き、ホッと息をついた。

しかしその瞬間に魔王はセンジュの肩を強く抱いた。

「でもね、覚えていて。ウリエルは許さない・・この前も言ったけど。それは覚悟していてくれ」

「・・・」

真剣な目で訴えられ、固唾を飲みこみセンジュは小さく頷いた。

背を向けるとラディエルはセンジュに向かって叫んだ。


「センジュ・・天界へ行ってくれ!ウリエル様とアンジュ様の為にも!!あなたはここにいるべきではない!!」


「・・・」


魔王はセンジュの様子を伺ったが、センジュは振り返らずに歩き出した。


「ごめんなさい・・」


_今は何も出来ない。なんの力も持ってない私は・・パパには逆らえないから。

でもいつか、ママに会う事が出来たら嬉しいのに。
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