綺桜の舞う

◇ ◇ ◇


1年前の夏になる前、高校に入学してしばらくしてぐらい。
沙彩が学校で、しかも同じ学年に何故か2年もダブった陽向を見つけた、と言ってきた。


まぁどーせ、学校に行かなかっただけなんだろうけど。陽向頭良いし、入学したときは特進科だったし。


それでまぁ、案の定、心の拠り所を見つけた沙彩は俺のことをフった。


多分。今思えば。
沙彩と出会った頃くらいからずっと。
俺は沙彩に片想いしていた。


ただ、しばらくしたらすぐに陽向と付き合い始めて。
俺はどうしようもないし、ずっとこの想いを隠してたわけなんだけど、陽向が消えたぐらいに、あぁ、ようやくって、少しだけ嬉しかったのを覚えてる。


ほんとに、今となっては申し訳ないだけだけど。


で、まぁ、なんだかんだ気づいたら沙彩と付き合ってて、でも結局身体の関係だけだった。


沙彩はずっと陽向のことばっかり考えてて、俺の気持ちなんて届きそうにもなくて。
それで結局、フラれた。
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