綺桜の舞う

「陽向が俺たちのこと信用して生きててくれたなら、俺は嬉しいよ。結果論で言っちゃうけど、陽向に死んでほしくなかった人間は、今も陽向の隣にいるんだから、今の選択は間違って無いと思う」


俺が思ってるだけだけどね?と笑う伊織。
いつもと同じ角度で壁にもたれて、無邪気な笑みを浮かべる。
こんな空間でも、いい意味でブレない。











「……これからの、話だな」


少しの間の後、朔が口を開く。


「残念だけど今は陽向の昔話に浸ってる時間はない。
おそらく、また、あいつらがトラブル持ち込んでくる」
「……今回のトリガーは、蛍ちゃんになるのかな?」
「……多分な。あと、叶奏」


朔は、感情を無にして、俺たちの話を進める。
今、泣こうと、取り乱そうと、蛍がここに帰ってこない事実を、朔が1番理解しているが故の行動だと思う。
< 354 / 485 >

この作品をシェア

pagetop