綺桜の舞う
40.密会




「明日……学校行こっかな……」
「体力戻ってないだろ。もうちょっと休んどけば?」
「でも、このままじゃずっと外出ないし……」


今朝、ベッドの中でスマホを触る叶奏を抱きしめていた時に叶奏がそんなことを言い始めて、行く行かせないの押し問答の結果、結局明日、試しに叶奏は学校に来ることになった。もちろん、条件は疲れたらすぐ帰ること。


「へぇ……叶奏ちゃんのあの感じだともうしばらく家から出ないもんだと思ってた」
「俺も。……最近よくわかんないんだよな」


あの抗争が起こるまでは、俺の隣から離れずにずっと好き好き言っていた叶奏が、どうもよそよそしい。
普段からデレデレしたりしない俺がそれをしても全くに無反応。
どうしようもなく、掴めなくなってしまった。


「あのさ」
「ん?」


伊織が突然、神妙な面持ちでぼんやりと一点を見つめ始めた。


「俺割と……自信ないよ」
「……何が」
< 363 / 485 >

この作品をシェア

pagetop