綺桜の舞う
「なーに?蛍ちゃんが迎えに行ったの?
あの子、強いでしょ」
「蛍は迎えに行ってないよ。総長が自分で迎えに行くって言って聞かなかったから」
「ふーん。で、蛍ちゃんは、そちら側では割といい役なんじゃない?」
「うん。副総長してる」


ピキッと、こちら側の空気が凍りつく。


「すぐにバレると思ってたの。3年前も蛍、前線で戦ってたから。
陽向が殴られそうになった時、沙彩の邪魔をしたのは蛍。
覚えてない?」


表情が歪む。
いつも通りに無表情、抑揚のない声が、静かなこの空間に響く。


「ごめん、私は敵の顔覚えないタチなんだよね。
キリがないから」
「うん、知ってた。沙彩のそういうさっぱりしてるとこ、蛍は好きだよ」


蛍は、右手を高く挙げて、指を鳴らした。
相手は300。蛍の指の音を合図にして、一斉にかかってくる。


「50人、それだけでいい。
他は全員、刃牙の倉庫行ってこい」
「朔……」


最前線、朔は覚悟を決めた顔でそう言った。
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