綺桜の舞う
朔はついにブチギレて、蛍に向かって走りだす。
既に周りの闘争は激化していて、綺桜陣営は人数が少ない分押され気味だ。


短気なとこが、ずっと、蛍が朔に直して欲しいところだった。
そんな誰彼構わず喧嘩売ってたらいつか痛い目に遭うよ、蛍の隣にいてくれなきゃ困る、って、何度言ったかわからない。
最近はマシになってきて、なおかつ蛍にはキレたことなかったのに。
目の前には蛍を捉える朔が。


……もう、朔の隣にいる資格はなくなったのかもしれない。


蛍は朔が繰り出す攻撃を交わしてお腹を蹴り上げる。


「うぐっ、ぅ、」
「蛍、朔が攻撃外したときの体制の立て直し下手なの知ってるよ」


ちらり、と横目であたりの戦火を見渡す。
変わらず、少しこちら側の有利。


ここに残った面子のほとんど綺龍の顔。
綺龍という集団の傾向的に、この戦況は強い。


夜桜は、金持ちやら社会的地位のある人間たちが、自立した意思で自分たちの居場所を守る傾向にある。
心の拠り所として、仲間の帰る場所として、各々が族を守る気持ちに長けている。
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