綺桜の舞う
「……陽向がそういうなら信用する。とっとと蛍のこと落として戻ってくる朔のためにさっさと片付けちゃお」
「だね」


ここに幹部を固めてきたのは、先に進む人数を減らすためか。
流石に、幹部クラスが3人も、先に進むとは思ってなかったか。


……伊織くん、鬼畜な厳戒態勢張るの好きだな、あの人。
まじで性格悪い。


目の前でズバズバ殴り倒していく陽向の背中を残党兵を潰しながら追いかける。


『僕、もう死ぬことにしたから。僕のこともう忘れて。ごめんね、沙彩ちゃん』


……あれを2度と起こさないために。
陽向を守らなくちゃならない。
私が、壊れてしまわないように。


あの時の私は、雪兎曰く、この世の終わりみたいな顔して、挙げ句、気もないくせに縋ってきてこっちはいなすのに大変だったと。
……ごめんね、って、今は思うけど。
こっちだって、自分に気がある相手を選んで縋ったわけだし。


私も、前に進もうと思っていた。
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