綺桜の舞う
◇ ◇ ◇


「ねぇぇぇ……沙彩ちゃんにフラれた〜……」
「そう泣くなって。タイプじゃないんだから仕方ないだろ」
「むり、病んだ。沙彩ちゃん」


放課後、バイクを走らせて倉庫に着くと、躊躇なく幹部室に上がる僕を見て様子を見に来てくれたのはみーにゃん。
軽く1時間くらい慰めてもらってる。


「わかったわかった」
「みーにゃんずるい」
「は?」
「好きな子と付き合えてずるい……」
「は?誰がそんなこと言った」


言わなくたってわかるし、みーにゃんが気付いてなくたって周りのみんなは気付いてるよ?
みーにゃんが叶奏ちゃんのこと心底気に入ってるの。
だから、ずるい。


「……好きな人いるのかな」
「知ってもどーにもならないだろ」
「そうだけどぉぉぉ……」


時の流れは怖い。
僕がそうやって大絶叫していると、ガチャ、っとゆっくり扉が開く。


「……あっ、お取り込み中?」
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