綺桜の舞う
50.光を追う者
「……」
「……」
「……」
「俺は優しくないから怒ってる」
「……うん」


お城、時計台の上の階層。
反転した時計を背に、いつもの2人っきりの時間。


「裏切ってたからどうとか、俺に攻撃したからどうとか、そこじゃなくて、俺のこと信用しなかったこと」
「……うん」
「なんか言うことは?」


別に怒った声色じゃないのに、すごく怖い。
怒ってるんだなって、とっても感じる。


「……朔に、生きてて欲しくて」
「もうそれはわかったから。違う言葉」
「…………ごめんなさい」
「うん……好きだから、そう言う気持ちになるのも、わかってるつもり。特に蛍がそうなるのはわかりきってることだからさ。
でも俺は、自分の身は自分で守るし、危ないことはして欲しくない」
「……うん」


朔は、突然、無言になる。
そして、しばらく蛍のことを見つめると、喉を詰まらせながらも胃を決したように唇を動かした。


「……ペナルティ」
「ペナルティ……?」
「家帰れ」
「……へ?」
「蛍の家。俺の家じゃなくて、蛍の家」
< 460 / 485 >

この作品をシェア

pagetop