綺桜の舞う
「何してんの?」


蛍は、朔に出会った。


「あ?なんだよ……って、おまっ」
「何してんだよって。しょーもないことしてんじゃねーよ」


当時の朔は今よりもっとガラが悪くて、全然、金髪のおにーさんより怖かった。
走って逃げていくおにーさんに、蛍がすがり付きたいくらいだった。


「お前」
「ひっ、は、はいっ」
「……ビビんないで。別に、お前のこと脅す気とかないから」
「……」


本当?なんで聞いたらぶん殴られる気がして、こくこくと頷くしかなかった。


「なんでこんなとこいんの」
「……おうち、出てきた」
「ふーん。帰んねーの?」
「……パパが、蛍のこと、殴るから」
「蛍って……お前自分のこと蛍って言ってんの?」
「……っ、ごめんなさい」
「いや別に、謝ることはないけど。
身バレは気をつけた方がいい。この辺の奴ら、危ないから」
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