ヤマジ君の…ヒミツ★
その時、突然携帯の着信音が鳴り響いた。


それはどうやら大釜先生のものだったらしく、先生はジャージのポケットから携帯を取り出した。



「はい。もしもし……?」


静かな部屋に先生の声だけがする。


「ええ? だ、大丈夫か? わかった。すぐに帰るから!」


先生はパチンと携帯を閉じると、慌てて帰り支度を始めた。

その様子から何かあったのだと容易に推測できた。


「どうかしたんですか?」


ヤマジ君が心配そうに先生に尋ねる。


「ああ……息子が熱出したらしい。病院連れていかなあかんし、もう帰るわ」



「じゃ、悪いけど戸締りよろしくな」先生はそう言い残して風のように去って行ってしまった。

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