すてきな天使のいる夜に
ーside 沙奈ー


しばらく眠っていたら、体も呼吸も楽になったような気がする。



酸素もマスクから鼻のカヌラに変わっている。



「沙奈。起きたか?」



体を半分起こした私の頭を優しく紫苑が撫でる。



「紫苑…。


ずっとここにいてくれたの?」



近くにはパソコンや、医療の書籍、資料が広がっている。





紫苑は仕事をしながら、私の看病をしていたことが分かった。




「当たり前だろう。


今日の沙奈を見ていたら、少しでも沙奈から離れたくなかった。


沙奈、眠りながら何度か発作を起こしたんだよ。


それに、沙奈。


眠りながら、辛そうな表情をしていた。」




発作?



呼吸もだいぶ楽になったから、あれから1度も発作を起こさずに時間が過ぎたのかと思った。



「沙奈。


少しでもいいんだけど、ご飯は食べられそうか?


朝も、昼もご飯食べないでずっと寝てただろう?」



「うん。」



辺りを見ると、日が沈み暗くなっていたことに気づく。



「いい子だ。


お粥なら食べられそうか?


後、桃の缶詰も食べる?」




桃は私の好きな物の1つで、体調が悪い時に翔太や紫苑は桃を食べさせてくれる。



この時期はまだ桃のなる時期じゃないから、桃の缶詰を出そうとしてくれていた。




「うん。ありがとう、紫苑。」




私がそう言うと、紫苑は私の頭を撫で部屋を後にした。




それから、しばらくして紫苑は卵の入ったお粥と桃の缶詰を持ってきてくれた。




「沙奈、熱いからよく冷まして食べろよ。」



「うん。いただきます。」



「召し上がれ。」



私がご飯を食べている間、紫苑は私の食事を見守りながら病気のことを調べていた。



「紫苑はご飯、食べないの?」



「心配してくれてありがとう。


俺は、適当に食べるから大丈夫だよ。」




「そっか。


あんまり、無理したらダメだよ。


私の心配をしてくれるのは有難いけど、それで紫苑が倒れたりしたら…。」




「沙奈。


沙奈は、本当に優しい子だな。


少し休憩するか。


俺も、ここでご飯食べてもいい?」




「うん。」




紫苑は、再び台所へと向かい自分のご飯の用意をしてから私の部屋に戻ってきた。



それから、色んな話をしながら紫苑と食事を取っていた。
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