夢みたもの

つながり

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ユーリの容体が急変したのは、その翌日だった。


「崇さん‥っ!!」


病室から出てきた崇さんに、あたしは名前を呼んで駆け寄った。


「ひなこちゃん」

「ユーリは?ユーリの具合は‥!?」


いつになく青ざめた崇さんは、あたしを見ると、一息吐いて小さく笑った。


「大丈夫。今は落ち着いてる」

「‥‥」

「ただ‥しばらくは覚悟した方がいいかもしれない」


ため息混じりにそう言うと、崇さんは崩れるように廊下の椅子に座り込んだ。


「崇さん!?」

「どうしてなんだろう‥?」

「‥え?」

「どうして‥、僕の家族は皆‥‥」


そこで言葉を詰まらせた崇さんは、額に手を当ててうつむいた。


「姉夫婦、杏奈に続いてユーリまで‥‥」

「‥‥」

「僕の大切な人達は、皆‥‥先に逝こうとする」


眼鏡を外し、目頭を押さえた崇さんの声が微かに震える。

それは、大切な人を失おうとしている人の悲しみ。

胸が張り裂けそうな程の苦しさが伝わってきた。


「‥や‥止めて下さい!」


思わず声を上げた。


胸が痛い。

苦しくて、哀しくて‥‥

涙がこぼれそうになるのを必死に堪えて、あたしは崇さんを見つめた。



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