カエデ並木に君の後ろ姿
僕と別れてからの君は、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで売れっ子女優になっていった。


玲子役で深夜ドラマに出た後、出演シーンはさほど多くないながらもその反響は大きく、次のクールの大人気刑事ドラマシリーズの新キャストに大抜擢され、一気に知名度を上げた。



それ以降はドラマに映画にCMに、君の姿を見ない日は無いというくらい、君は芸能界で欠かせない人になった。


今では僕の隣に君が居たなんて夢だったのではないか、そう疑いかけて、君とのツーショット写真を見返して現実だったと思い出すことを繰り返す。




なんて女々しいんだと自分でも自分が嫌になる。




こんなにも引きずるなら、あの時少しは引き止めていれば良かった。


カエデ並木の下を歩いていく君の後ろ姿に声を掛けていたら何かが変わっていたのだろうか。



あの日の君は本当はどう思っていたのだろう。



後悔しても遅いし、後悔するものの、きっと同じ日に戻れたとしても僕はやっぱり何も言わずに君の後ろ姿を見送るのだと思う。



後悔はしても、そうあるべきだったのだと思っている。

でも引きずってしまう、どうするのが正しかったのだろうか。



僕は震える指で、その投稿に記載されたURLをクリックした。

記事の詳細はこうである。
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