おうちかいだん
「はあ? あなたおかしな人ね。私の話をしっかりと聞いてたの?」
うーん、私は何かおかしな感覚があったんだけど、浜崎さんがそうは感じないというのなら、これ以上議論の余地はないかな。
「ごめんね。私は『幻で見た死体が、死んだ3人の姿にそっくりだった』じゃなくて、『死んでいた3人の幻が、自分たちの死を認識した』って話かなと思っただけなんだ。そう……今の浜崎さんみたいにね」
「え?」
私がそう言うと、浜崎さんは不思議そうに首を傾げて。
ゆっくりと自分の身体を見ると、そこには自らのナイフで刺した傷と、足元には血溜りが出来ていた。
「あ、あえ……な、なんで。い、稲葉くんは……」
「稲葉くん? 誰それ。浜崎さんは私の前で、稲葉くん稲葉くんって叫びながら自分をナイフで刺していたんだよ? きっと、幻でも見たんだね」
自分の姿に気付いてしまった浜崎さんは、何がなんだかわかっていないという顔で、ゆっくりと前のめりに床に倒れた。
すでに死ぬほどの傷を負っていただろうに、気付いていないなんてね。
「自分がそうなっていると気付かなければ……か。まさかね」
もう真っ暗になった。
今日はこれくらいにしておこうと、私は黒に包まれた教室を後にした。
うーん、私は何かおかしな感覚があったんだけど、浜崎さんがそうは感じないというのなら、これ以上議論の余地はないかな。
「ごめんね。私は『幻で見た死体が、死んだ3人の姿にそっくりだった』じゃなくて、『死んでいた3人の幻が、自分たちの死を認識した』って話かなと思っただけなんだ。そう……今の浜崎さんみたいにね」
「え?」
私がそう言うと、浜崎さんは不思議そうに首を傾げて。
ゆっくりと自分の身体を見ると、そこには自らのナイフで刺した傷と、足元には血溜りが出来ていた。
「あ、あえ……な、なんで。い、稲葉くんは……」
「稲葉くん? 誰それ。浜崎さんは私の前で、稲葉くん稲葉くんって叫びながら自分をナイフで刺していたんだよ? きっと、幻でも見たんだね」
自分の姿に気付いてしまった浜崎さんは、何がなんだかわかっていないという顔で、ゆっくりと前のめりに床に倒れた。
すでに死ぬほどの傷を負っていただろうに、気付いていないなんてね。
「自分がそうなっていると気付かなければ……か。まさかね」
もう真っ暗になった。
今日はこれくらいにしておこうと、私は黒に包まれた教室を後にした。