エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 カフェでテイクアウトしたロコモコ丼も温めてダイニングテーブルに並べ、司波さんと向かい合って座り、いざ実食。

「うん、我ながら上出来。でもカフェの方も美味しいですね。司波さんの判定はどうでしょう……?」

 両方を少しずつ食べてから、彼に尋ねる。一応カフェの味に勝つつもりで作ったけれど、彼の感想を聞くまでは安心できない。

 司波さんは黙々と私の作った方のロコモコ丼を口に運び、一度飲み込んでから口を開く。

「そんなもの、食べる前から決まってる。お前の勝ちだ」
「えっ? 食べる前から……?」

 なんで味も知らずにそんなことが言えるの?

 私はキョトンとして瞬きを繰り返す。

「正確に言えば、スーパーで買い物をしている時だ」
「スーパー?」

 ますますわけがわからず首を傾げると、あっという間に半分ほど食べ進めた彼が、まだ二割程度しか減っていない私の皿を見て言う。

「お前も早く食べろ。食べ終わったら車で家まで送る」
「いえ、大丈夫です。まだ早いですし電車で帰れます」

 腕時計を確認すると、まだ十八時すぎだ。外は暗いけれど、そこまで危険な時間でもない。

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