御曹司は魔法使い⁉︎ ② 〜私達、結婚式を挙げます!〜

ーチャペルで挙式ですー

賢人くんの導きで、チャペルの入り口に向かう。そこには父が、緊張の面持ちで立っていた。

「お父さん…。」

「花!」

…え? いやいやいや。もう泣いてるの⁉︎
私、実際には1年以上も前にお嫁に行ったんだけど…。

「綺麗だなぁ…。世界一綺麗な花嫁さんだ。良かったなぁ…。
花、幸せになれよ…。」

イケオジが台無しのお顔で、そう言われると、私にもグッとくるものがある。
こういう父だから、大好きで、ずっとそばにいたいと思っていた。

「お父さん。私ね、昨日のお父さんの話を聞いて、一緒に東京に来れて良かったと思ったよ。考えてみれば、私は社会人になっていたし、置いていかれてもおかしくなかったんだよね。でも、家族で一緒に転居するっていう選択肢しか、私の中にはなかったの。お父さんやお母さんと離れるなんて考えた事なかった。お父さん、一緒に連れてきてくれてありがとう。
お陰で、大好きなコーヒーハウスの仕事が出来て、寿貴先生にも出会えた。仁貴も生まれた。
お父さんがキューピッドなんだよ。」

「花ぁ〜〜!」

賢人くんが横からサッとハンカチを出してくれた。
…多分、これって花嫁さんに用意されていたものじゃないだろうか…。

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