奪って、浬くん



──


「なこ、」


ギシッとベッドがきしむ音と、耳元に感じる吐息。



やさしく頭をなでられて、びくっと肩が震えた。



この手つき、しってる.....。


無意識に、その手のひらに頬をすりつける。


あったかい、安心する手のひらは、ずっとだいすきなもの。



「かいりくん.....だぁ」



これは、夢かな....?


だって、わたしさっき浬くんから逃げてきたんだもん。


その浬くんが、わたしの部屋にいるわけないよね.....。



「寝起き、無防備になるクセ変わんないね」


「む、ぼび.....?」



だめ、頭がふわふわしてて働かない。


キョトンとみつめると、浬くんはふっと口の端をあげて、わたしの頬をつつく。


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