幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆
政宗と過ごす時間は楽しくて、あっという間に時間が流れていく。

パンケーキも食べ終わる頃、政宗が言った。

「小春はもう一度手術を受けるんだろ?」

「……え?」

今までの楽しい時間が急にどこかへ飛んでいってしまったのではないかと思うほど、小春は動揺した。

手術は受けたくない。
家族にだけは告げたが、それに対してまだ答えは出ていない。

毎日お風呂に入るたび思う、胸の傷痕。
一生消えることのない、傷痕。

誰かが言った。
それは小春が頑張った証だよ、と。

頑張ってなんかいない。
頑張ったのは医者だ。

それに、小春はまだ覚えていた。
政宗から、小春の心臓を治してあげると言われたあの日のこと。もう一度手術をして、それが事実上の完治というならば、その最後は政宗に治してもらいたい。

揺れる瞳は政宗をじっと見据えるが、その想いを口に出すことはできなかった。こんなわがままを言って政宗に嫌われたくない。フラれて恋人にはなれなかったけど、せめてこの関係は壊したくないのだ。
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