花のような君へ
丘を登り、彼女のお墓へ花を添える。

墓の前に座り、今日の出来事や今日まであった出来事を話す。



「それでな───」



──パキッ。



後ろで誰かが枝を踏んだ音がした。

振り返るとそこに立っていたのは侑介と幸人だった。




「お前らなんでここに....」

「幸人がお前を追いかけたらお前が彼女を作らない理由がわかるって言うから...すまん!」

「幸人...」




なんでこいつに、という思いを含め幸人の顔を見る。

相変わらずすました顔で俺を見てくる幸人。




「こいつにも話していいんじゃないか?こいつおちゃらけてるけど言いふらしたりはしないだろうし」

「.....」

「....なぁ、春樹、そのお墓って...?」




見つめ合う俺と幸人の空気に気まずさを感じたのか、お墓を指す侑介。




「はぁ...わかったよ。話すよ」

「いいのか!?」

「ああ。だけど、面白くはないぞ」

「別に面白さは求めてねぇよ」

「そうか」




とりあえず突っ立っている2人を横に座らせ、数年前の思い出を振り返る。




「このお墓は俺が一生涯こいつしか愛さないと決めたたった一人の俺の愛する人だ。彼女の名前は桜木茜───」




───花のような人だ。
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