拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着愛が重すぎます!~
「いいのよぅ。マルスちゃんのあれは、て・れ・か・く・し。あんなの、怒られたうちに入らないんだからっ」
ぱたぱたと手を振るキュリオ。ちなみに、彼は以前マルスが夜に店に顔を出した時、散々幼馴染ネタでふたりを冷やかし、結果マルスを怒らせた前科を持つ。
そんなお茶目でふざけたマダム・キュリオだが、この界隈で、恋愛経験の豊富さで彼の右に出る者はいない。少し迷ってから、フィアナは口を開いた。
「マダムは、エリアスさんとも仲がいいですよね。エリアスさんって、どこまでが真面目なんだと思いますか」
「え? エリアスちゃんが、フィアナちゃんのことを『大天使で女神な私の嫁』ってしょっちゅう惚気ているのが、どこまで本気かって話?」
「そうですけど、そうですって言いづらいこの感じ!!」
頭を抱えて、フィアナは叫ぶ。ていうか、私の嫁ってなんだ。エリアスに嫁いだ記憶など、これっぽっちもない。
そのように悶えるフィアナに、キュリオは愉快そうに身を乗り出した。
「……あらあらぁ? もしかしてフィアナちゃん、ちょっぴりエリアスちゃんのこと気になってきちゃった??」
「いえ。それはありません」
「いやーん。フィアナちゃんったら、今日も辛口っ」
「けど……」
「けど??」