勇者がうちにやってきた▼【完】
外に出た私達は、比較的人の少ない建物の搬入口付近で話すことを決めたのだけれど、トラックが立て続けに何台も入ってきて、ドライバーさん達が不審な眼差しを私達に向けていたので、すぐさま移動となった。
結局やってきたのはショッピングモールの敷地内にある広場。
中央に噴水があって、周りに色々な遊具が設置されている、私も小さい頃何度か訪れたことのある場所だ。

既に日が沈んでいる時間帯となっては、昼間に見られる家族連れの姿は見受けられない。
その代わり、カップルや犬の散歩をしている人などがちらほらと。
犬と言えば、この綺麗な毛並みをしているハスキー犬は一体なんなのだろう。
男が飼っている犬みたいだけど、巻物で一緒に飛んできたというのだろうか。
だとしたら“ぶっとびの巻物”には人数制限がないってこと?
なんにせよ本人に経緯を問い質すのが真実への近道だ。

上半身裸に眼帯つけたままでいられても周りからの視線が気になるし、いつ通報されるか分からないので、先ほどマオちゃんが買った服に着替えてもらうことにした。
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