勇者がうちにやってきた▼【完】
「ですからこんな風に志を同じくする者と親睦を深められたことが、今とても嬉しくて……」


はにかみながらも姫は言葉を紡ぐ。


「ありがとうチトセ。あなたが背中を押してくれたお陰で世界が広がりました。これからはもっと社交的に活動していこうと思いますわ」


私を見据えたまま、意気込みをいれる姫。
大きな瞳は真っ赤な夕焼けに照らされて、宝石のようにキラキラと輝いていた。


「どういたしまして。ほら、行っておいで」
「ええ!」


それは希望に向かって歩き出した瞳にも見えて、私は心底から穏やかな気持ちにさせられたのだ。
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