勇者がうちにやってきた▼【完】
「えっ、なに……!?」


しばらく様子を見ていると、あーくんのドット絵が画面の真ん中に現れた。
周りは真っ白で、あーくんがどこにいるのかサッパリ分からない。

そして画面下に通常キャラクターのセリフが表示されるウィンドウが出てきたと思いきや、セリフ時の効果音と共に文字が並べられていった。


チトセ……▼

ボクは チトセのえがおが ダイスキです▼

だからわらって▼


あーくんからのメッセージだろうか。


「なに、それ」


潤む視界のなかで届いた言葉に、苦笑いしてしまう。


「こんな状況で笑えだなんて、いじわるだなぁ」


でもそんなところも好きだよ。好きだったよ。
私があーくんを好きになった気持ちは夢でも嘘でもなく、確かに本物だったんだ。
私は涙を堪えて“でたくえ”をぎゅっと抱き締める。

ありがとう、あーくん。

そして、さようなら。
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