勇者がうちにやってきた▼【完】
また今年もやってきてしまった。
彼氏いない歴=年齢の記録が更新される日が。


「オレさ、前から菱沼さんのこと良いなーって思ってたんだ。良かったら付き合ってくれないか?」
「気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい」


そんな自慢にも名誉にもならない記録を、私は自ら更新していく。
私が頭を下げれば、目の前の男は未練ありげに訊いてきた。


「なんで?理由は?それを聞かなきゃオレ諦められないよ」


その質問に、私は少しだけ間を置いてから答える。


「忘れられないくらい好きな人がいるの」
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