勇者がうちにやってきた▼【完】
「異世界ともなれば当然身寄りがありません。なのでしばらく彼女の家に居候させてもらうことになったんです」
「そうなのか。ではワガハイのことも宜しく頼むぞ!」
「はああああっ!?」


思わず品のない声が漏れる。
だって、なにがどうして魔王の面倒まで見てあげなきゃいけないのだ。とばっちりも大概にしてほしい。


「あの、うちは確かに広いですけど、見知らぬ男を二人も住ませるってのは流石に」
「見知らぬ男じゃないでしょう。チトセは魔王のことも知ってるんじゃないですか?」
「いや確かにそうだけど」
「ほう。こんなところにまでワガハイの名が知れ渡っているとは!」


そういうわけではないんだけどな。
主導権は私にあると思いたいけど、多数決的な意味でもこれでは二人の良いように持っていかれそうだ。

肩を落として深いため息を漏らそうとした矢先、聞き覚えのある爆発音とともに、小麦粉をひっくり返したように辺りに白い煙が充満した。
ちょっと、また増えるなんてペース早すぎじゃないの!?勘弁してよ!
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