勇者がうちにやってきた▼【完】
あ、やばい。美味しすぎて涙が出そうだ。
自分一人のために手作り弁当を用意するなんて面倒だから、普段は購買でパンやおにぎりを買って食べている。
だからこうしてお弁当箱から箸でとったご飯と食べるだなんて、ある意味非日常的なのだ。
ありがとうマオちゃん本当にありがとう。なんだか心が浄化された気がするよ。


「でもさ、千歳ってなんでモテないんだろうね」
「それあたしも思う!」


私の話を引きずっているヨリと真純。
え、なにそれそれは皮肉なの?なんでってそりゃ私が喪女だからに決まってるじゃない。
私が男なら、私みたいな陰湿な女絶対彼女にしたくないし。

ていうかモテないから喪女っていうより、モテない以前に私という存在が、生まれながら喪女という属性に分類されてるんだよ。もはや予定調和というレベル。


「その三次の男は嫌だー、みたいのを直せばすぐに彼氏なんてできると思うけどな!」
「別に彼氏ほしくてがっついてないし」


真純のアドバイスを否定して、


「確かに二次元は素晴らしいよ。けど現実を見なきゃ駄目なのだよ千歳ちゃん。早く脱喪女しよう」
「余計なお世話よ。てかヨリに言われたくない」


ヨリの正論を蔑ろに扱う。
こんな私だから、自分がモテないことに自覚もあるわけだ。
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