【完】黒薔薇の渇愛




クスクスと笑いながら、桜木は私の目の下に親指を軽く押し付けてきた。



「うさぎちゃん、まだ目赤いねー?
 泣かせたのが俺だったらよかったんだけど」


「またそういう事言う……。
 ていうか泣かせないでほしいんだけど」


「うーん……どうかなぁ。
 天音ちゃんの心が俺でいっぱいになるなら、泣かせるのも悪くないしねぇ……」



「……変態だ」


「変態です」



そんなことしなくたって、もう桜木でいっぱいだよって言ったら、彼はどんな顔をするんだろう。



驚いた顔が見てみたい。


照れた顔とか……普段人を振り回す側にいる彼の、そんな顔を見てしまったら
それこそ心臓とまっちゃう。



「なーに顔赤らめてんの」


「へっ!?」


「変な想像でもしちゃった……?
 変態はどっちなんだろうね」


「……っ」



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