天色ガール




◇◇



『…わかった。じゃ、また明日!』




アメがそう言って理事長室を出たから、俺はこのうるさい奴と二人きりになった。





「おい千暁。なんでアメさんを屋上に行かせたんだよ」




勇が鋭い目で俺を睨む。



…まぁ、そうなるよな。


本当は戸締りの確認なんて必要ないんだし。




────俺の目的は、屋上にいる“彼ら”にある。




「屋上ってアイツらの溜まり場だろ?正人さんの事だから、この学校にアイツらが来ることは知ってたんだろうし……、一体アメさんに何があったっていうんだよ!」




…やっぱ鋭いな。



こいつは一見頭が悪そうに見えるが、アメと同じで頭も要領もいい。




「ああ、知ってたはずだ。アメに何があったかは聞いてないが、“天色”を抜けたことに関係があると思う」




正人さんが、わざわざ不登校だったアメを高校に通わせるぐらいだ。絶対に“何か”があったはず。



それに…さっきアメに直接聞いた時も黙り込んでたしな。何か俺らに隠していることがあるんだろう。



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