天色ガール
「…まぁ、姫になるかはお前次第だ。もし何かあっても────
俺らがアイツから匿ってやる」
そう言って父さんは、ほんの少し口角を上げた。
「…どうしてそこまでしてくれるんですか?」
素朴な疑問だった。
父さんも組員のおっちゃん達も…みんなあたしに優しすぎる。
「お前は荻荘組の人間。つまり俺の娘だからな」
平然とした態度で言った父さんは、珍しく優しく笑っていた。
「…っありがとう、ございます」
深く頭を下げて、ぎゅうっ。自然と拳に力が入る。
組のみんなは父さんのことを本当の親のように思っていて、父さん自身も組員たちのことを自分の子供だと思っている。
だからあたしも、父さんの子供ってわけだ。