天色ガール
真琴はあたしを見た途端すみっこに移動したし、藍も彼の側に腰を下ろした。
だから近くにいるのは輝と茜と想乃。
…うん。これは想乃の隣が一番だ。
「姫の件なんだけど……」
隣に座れば想乃が言いづらそうに話を切り出した。
「あ、そのことなんだけど。別に姫にならなくても理事長とかコウ…じゃなくて荒野先生に守ってもらうから大丈、」
「お前あの荒野とも知り合いなのか!?」
突然、茜が立ち上がった。
うとうとしていた輝がパッと目を開き、隅に移動した真琴と藍がバッとこちらを振り向く。
…いやだからさ。
「あのってどの!?」
こいつら、暁だけじゃなくてコウにも“あの”をつけてる。
しかもあんなに過剰に反応されたら嫌でも気になるって。
「理事長と担任の荒野にはすごい親友がいるんだよ!」
なぜか目を輝かせている想乃が教えてくれた。
でも………親友?
あいつらが親友なのは分かるけど、あいつら‘に’親友??
誰だろうと首を傾げていれば想乃が、
「あの伝説の天色初代総長、“雨天”っていう人だよ」
眩しい笑顔でとんでもない事を口にした。