キミと、光さす方へ
「松本くんと普通に会話をする程度ならよかったんだ。でも、お前は松本くんのことが好きなんだろう?」


お父さんの質問がどこか遠くから聞こえてくる。


これは現実?


悪い夢であったら早く覚めてほしい。


「お父さんもお母さんはしばらく考えたのよ。最近琴江は元気になったし、それが松本くんのおかげかもしれないって。でもね、やっぱりダメなの。あたしたちの子供の命を奪った人間が、琴江を付き合うだなんて……」


途中から、お母さんは涙声になっていた。


振り向くと白い頬に涙が流れている。


きっと、2人ともすごく考えたんだろう。


あたしの幸せを奪っていいものかどうか、深く悩んだに違いない。


そして、出た結論がこれだったんだ。


「あたしのせいだ……」


最近直哉から連絡が来ないのは、全部あたしのせいだったんだ。


あたしが弟の話をしてしまったから、直哉は自分から遠ざかって行ったんだ。
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