俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

すると、今度は力付くで私から逃げようと試みたらしい。私の拘束から逃れようと、体を振って藻掻き、手足を激しく動かし始めた。

…そう簡単に逃してたまるか!

敵わない格上に対し、窮鼠猫を噛むには不意打ちを狙い急襲、一気に大技へと持ち込む。

右手首を掴む私の右腕、首を囲っている左腕、胴体は私の両足を絡めて固定している。

逃がすまいと、一層力を入れる。

この好機をみすみすと逃すバカかどこにいる?

それに…禁呪から逃れられると思うなよ?!



「…ああぁぁっ!腕が、腕が焼ける!熱い!熱いぃぃっ!」



炎の範囲が右腕全体を埋め尽くした。

だが、漆黒の炎は弱まるどころか、その火力を増し、天井すれすれに立ち上る勢いだ。

燃やされている本人も、想像を絶する痛みでひとたまりもないだろう。



だからって、ここでやめてやるものか。

ここで、こいつを徹底的に叩いておかねば、今後の戦況に大きく関わってくる。

リグ・ヴェーダにとっても、この花魁女郎蜘蛛がいるのといないのとじゃ大違いだ。



「…おまえを、全て焼き尽くしてやる…」

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