シンデレラは、ここにいます。〜嘘恋〜

「恋々、文字書く?」



「雨登くん先に書いて…」



「うん…」



雨登くんは

最後のプリになんて書く?



記念日って

今日はなんの記念日?



2ヶ月記念日じゃなくて

最後の日?



なんで笑って撮らなきゃなの?



やっと偽カップル終わったね!

おつかれ!

って?



明日から自由だー!

って?



どんな気持ちで笑うの?



最後まで

ニコニコ偽カップルじゃなきゃなの?



SNSになんて載せるの?

こんな笑顔なのに別れました

って?



ごめん

上手く笑えなかったね





雨登くんが書いた文字が見えた



『恋々大好き♡』



なにそれ…



本当に泣きたくなった



悔しかった



そんな嘘よくつけるな…って



別れの日なのに

大好きとか…



よく書けるよね



「恋々、書いて…」



画面が滲んで見えた



力の入らない手で

書いた



『ありがと』



それから…



『大キライ』



震えた手で書いた歪んだ文字の上に

涙が落ちた



どんな感情?



最後で寂しいとかそんな感情じゃなくて

悔しくて辛かった



「恋々?」



慌てて雨登くんが私を見た



きっと目が合ってるのに

雨登くんの顔はよく見えない



「なんで…
なんで、別れる日なのに…
大好きとか…

2ヶ月で別れるって決めてるなら
そこまで考えてよ…

毎日、電話とかしないでよ…

今日でバイバイするなら
前の日から喧嘩するとか…
ちゃんと考えてよ!

なんで笑ってるの?
もっと冷たくしてよ!

嫌いにさせてよ!

大好きなんて…
嘘でも書かないでよ!」



「ごめん…恋々…」



出てきたプリを持って

店の外に出た



「雨登くんじゃない?」

「え!ウソ!」

「隣、ダレ?」

「恋々ちゃん?」

「泣いてる?」



すれ違う女の子たちの声が聞こえた



もぉ嘘でも手も繋いでくれない

私は雨登くんの後ろに隠れた


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