私しか、知らないで…

「よかったね
亜南、春から大学生だね!」



「うん…」



「アレ…?嬉しくないの?」



「いや…
…
あのさ、野菜炒めの作り方、教えてよ
あと、洗濯って白いのと色物わけるの?
アパートどこがいいかな?
住むなら、どんなアパートがいいかな?
オススメとかある?」



「亜南
…
アパートにも水槽2個置くの?
熱帯魚、一緒に選ぼうよ」



「え…、うん…」



必死だった

また紫苑に会うための理由

ただ会いたいって言える仲でもないから



熱帯魚、一緒に選ぼうよ


紫苑のひとことで

また会ってくれるんだって
酷く安心した



「水槽置ける少し広めのアパートがいいな」



「大学生の身分で贅沢だね」



「バイトするって言ったじゃん!」



「そーだったね…」



「水槽運びやすいように1階がいいな」



「亜南の頭の中は魚のことばっかりだね」



そんなことない



紫苑と目が合って

紫苑がオレの頬を両手で包んだ



紫苑しか見えなくなる



紫苑に出会ってから
紫苑を考える時間がオレの中で大半を占めた



熱帯魚、一緒に選ぼうよ

そう言われるまで
そのことは忘れてた



ーーー



ゆっくり紫苑の唇が

オレの唇に触れた



「亜南…」



「…ん?」



大学合格のご褒美?



「好き…
…
亜南…好きだよ」



「林檎より?」



「ん?りんご?なにそれ…」



笑った紫苑がかわいかった



ーーー


ーーー


ーーー



キスで返したら

キスで返ってきて

またキスで返した



< 138 / 250 >

この作品をシェア

pagetop